マトリックス [Blu-ray] ワーナー・ホーム・ビデオ 2010-04-21 by G-Tools |
1999年 未来を予見するかのごとく現れた衝撃作
映画公開当時に無かったIT関連を以下列挙してみる。
twitter、Facebook、BLOG(概念すら無くどの企業も類似サービスを提供していない)
USB、SDカードは開発段階、PCのメインメモリは多くて256MB、HDは64GBもあれば素晴らしい時代。
携帯電話会社は通話と簡易的なメール機能のみ提供。携帯サイトなど存在しなかった。
ADSLがこれから普及する段階で、光通信など夢のまた夢。
Windows98が現役でCPUはPentiumⅡ。誰もがMOをデータ・デバイスとして使用したいた時代。
iPhoneやiPadなど一体誰が想像しえただろうか?
1999年にこの世界はコンピューター・プログラムだ! という世界観を実写ビジュアル化してしまったこの映画の先進性、いま見ても色あせないストーリーは圧巻だ。
そう考えると、この映画に影響を与えたとされる数多くのジャパニメーションはさらにその先の未来を予見していたことになり、それもまた誇らしいやら、恐ろしいやら。
今見ると「携帯電話」の進化だけは予見出来ていない。これは手塚治虫が鉄腕アトムで予見できなかった未来感と一致している。そういう意味では携帯電話の進化は眼を見張るものがある!
21世紀に入り公開から12年、わずか12年でIT・SFの世界ではある意味「古典」となった。
■調査レポート ■予告篇使用曲 ■コンポーザー ■サントラ ■サントラ未収録
※調査結果に関しては各自今一度ご確認ください。itunes等の楽曲ダウンロード購入に関しましては、試聴後、個人の責任において行っていただきますよう宜しくお願い申し上げます。
■調査レポート
・サントラが全世界中で売れに売れたので手持ちの方も多いはずですが、実はサントラ未収録楽曲に目を向けると非常にウォシャウスキー兄弟らしい選曲がなされています。Jazzのナンバーではジャンゴ・ラインハルトが、オールディーズではヂューク・エリントンなんかが出てくる。映画「バウンド」とはぜんぜん違うじゃない? なんて公開当時思ったファンも、このあたりの選曲にはニンマリできたんじゃないでしょうか? また劇中使用されている、1972年の日本未公開ホラー映画「Night of the Lepus」も今回サントラ未収録コーナーで調査しております!
・公開初日に自宅で見ていたマトリックス?
この映画の日本公開は本国の半年遅れており、海外ではLDが発売されていた。そのため劇場鑑賞後に輸入盤LDショップで本作を購入し自宅で再鑑賞する事が可能だった。
・DVD創世記に起きた珍事 3バージョン発売事件
本日は完全に関係者悶絶なネタバレをひとつ。
というのもこの作品はDVD創世記にとんでもない珍事を巻き起こしている。それはなんと3バージョンも、それも再生環境を選ぶという理由だけで発売されてしまっているのだ。
マトリックス コレクターズ・ボックス完全英語版
マトリックス 特別版
マトリックス ROM対応特別版
これは別に企画云々は関係ない、特にROM版なんてものは後にも先にもこの作品だけである。完全英語版というのも? つまるところDVDそれ自体に問題があったのだ。 DVDというのは創世記、各企業の考え方がまとまっていないまま世に出た。フォーマットが未確定だったのだ。そのために、プレーヤーでは再生できるけどPCでは再生不可。A社とB社は相性が云々ということが普通に起きていた。なかでも当時世界中で大ヒットしたApple「iMac」(ブラウン管デザインのあの名器)ではまともに再生できるDVDソフトのほうが珍しかったほどだし、某ゲーム機(わかるとは思うが)では最終的に「ゲーム機なんでDVD再生保証してませんがなにか?」という騒動も巻き起こしている。
これではいかん!ということでその後DVDフォーラムというものが立ち上がり、技術陣は仕様統一を試み現在に至る。そのため現在では再生できないプレーヤーや、再生環境による再生不可能なDVDなんていう物はほぼ消滅した。
マトリックスに話を戻すと、まずPCでまともに再生出来なかったためそれ専用のDVDソフトを作る必要があった。なので「ROM」であり、これはアプリケーションソフトだ。DVDメディアのそれとは違うものを制作することでPC再生に対応した。(またあえてROMならば購入層がDVDプレーヤーで再生できないROMを購入するという二次被害もない)
完全英語というのも、吹替版他への切り替えにおける誤動作を避けるためにこれら複数のバージョンが用意されたというわけ。
後にも先にも映像特典云々でバージョン違いが発売されたのではなく、再生環境により複数バージョンが発売された作品はこの映画以外にないのではないだろうか?
※無論現在リリースされているDVDソフトでは、この問題は全て解消されている。
※オマケ薀蓄。今現在でもDVD-Rに関してはどのメーカーの再生機も「対応」とうたっているだけで「完全互換」は保証されていない。
その理由は鏡面反射率がDVD-Rの場合弱いのでまれに読まなくなる場合があり、こればかりは致し方がないという判断がなされている。(鏡面反射率を分かりやすく。工場生産のDVDは盤面が金色。Rは紫だ。どちらが光をきちんと反射させれるかは言うまでもない。)
・映像革命「バレットタイム」
これやりました、はい。とにかく真似したくて映像を作ってみようとか本気でした覚えがあります。 でも結局はかなりお金のかかる力技であるということが判明して断念。 もし今これと同じ映像を製作するなら違う方法で思いの外簡単にできてしまうやもしれません。
冒頭でも取り上げたとおり、当時は使用できるパソコンやCGソフトも今とは比べものにならないくらい非力です。そこでこの映像製作方法を考え、世界的に有名になったジョン・ゲイターさんはこう考えました!
360度静止画撮影しちゃえばいいんじゃないか?
ホラこの段階でお金がかかりますね、力技ですね。 要するに、360度キアヌを取り囲むようにデジカメをセット。これを高精度デジタルレリーズ(シャッターです)プログラムを制作して数万分の一秒単位でほぼ同時にシャッターを切るんです。 このほぼ同時という微妙なズレが重要で、あくまでも映像なので、ずらすことでパラパラ漫画で言うところの動きもきちんと再現してしまおうという物。
カメラのセッティングにはレーザーポインターを使用し、それぞれのカメラの向きが極力ずれないよう精密に計算。静止画をCGと合成し、さらにモーフィング技術を使用して動きをなめらかに。というアナログ+デジタルで制作した当時としては最先端の力技映像だったのです!
<以下Wikipediaより引用>
・「Matrix」はラテン語で母(mater)から派生した語で、母体という意味であり、英語などヨーロッパの諸言語で、「そこから何かを生み出す背景」「基盤」「基質」といった概念を表す。
コンピュータにおいては、座標変換(状態変化)の式である。劇中では画面バックに流れている緑色の文字記号が根源(ソースコード)、すなわち「ソース」と呼ばれている。従って「MATRIX」とは、ソースをMATRIX変換によって仮想現実上の様々な事象に変えていくシステムと捉えられる。
・プログラミングの場面では、縦書きの裏返った半角カナや注音符号が登場する。これは ウォシャウスキー兄弟に日本のPCでは縦書きでプログラミングしていると、日本人のスーパーバイザーが吹き込んだのが原因である(映画パンフより)が、その当人の正体は秘密にされている。
・影響を受けたとされる作品や人物
ニューロマンサー
GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊
ジョン・ウー
ブルース・リー
クエンティン・タランティーノ
ウィキペディアの執筆者. “マトリックス (映画)”. ウィキペディア日本語版. 2011-06-24.http://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=%E3%83%9E%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9_(%E6%98%A0%E7%94%BB)&oldid=38125021, (参照 2011-06-24).
■予告篇使用曲
予告篇はどのバージョンもほぼ業務用音源で構成されており、意外なことにオリジナルスコア使用はゼロ。
【特報】
◇業務用音源からの使用
・Brand X Music社
「Eliminator」
Youtube!
http://youtu.be/yF8JTdv19bU
オフィシャル
http://www.brandxmusic.net/
【本告】
◇業務用音源
・Brand X Music社
「Eliminator」
Youtube!
http://youtu.be/yF8JTdv19bU
オフィシャル
http://www.brandxmusic.net/
・Immediate Music社
「Nostromus」
Youtube!
http://youtu.be/AIZSb_9E_u8
オフィシャル
http://www.immediatemusic.com/
・Pfeifer Broz. Music社
「Horrible Wind」
オフィシャル
http://www.immediatemusic.com/
・Atmosphere Music社
「Body Bags」
オフィシャル
http://www.myspace.com/atmosphere
◇他の映画作品よりの使用
・Alien 3
Alien 3: Original Motion Picture Soundtrack Elliot Goldenthal Mca 1992-06-09 by G-Tools |
・ロミオ&ジュリエット
Romeo & Juliet Various Premier 1997-03-10 by G-Tools |
◇アーティスト楽曲
・Enigma 「The Eyes of Truth」
Youtube!
http://youtu.be/b8ri14rw32c
The Eyes of Truth Enigma EMI Import 1999-07-27 by G-Tools |
・Filter and The Crystal Method 「(Can't You) Trip Like I Do」
この曲は映画「SPAWN」のサントラに収録されている
Youtube!
http://youtu.be/7bWdNeMrj14
Spawn: The Album (1997 Film) Graeme Revell Sony 1997-07-31 by G-Tools |
◇大注目!
コンポーザー、ジョン・ビールによる「Beal's Con Theory」という曲は、彼が手がけた予告篇提供音源のみで構成されたオリジナルアルバム「Trailer Project: Coming Soon - Previews of Coming Attractions」に収録されています。
・John Beal 「Beal's Con Theory」
Amazonアメリカで試聴可能、販売中です(柿日本のリンクでは廃盤中)
http://www.amazon.com/Trailer-Project-Coming-Previews-Attractions/dp/samples/B00000DCZA/ref=dp_tracks_all_1#disc_1
Triler Project Alan Silvestri Sonic Images 1998-10-06 by G-Tools |
■コンポーザー
・ドン・デイビス / Don Davis
1957年・カリフォルニア生まれ。
代表作「マトリックス」シリーズ 「ネバー・サレンダー肉弾凶器」「スター・トレック・ネクストジェネレーション(TV)」
1983年から非常に精力的に活動を開始され現在までに実にオフィシャルでは80タイトル以上の映画作品でクレジットされています。
ウォシャウスキー監督との初タッグ作品である「バウンド」が、映画スコアコンポーザーとして世に出た初の作品で、その後の「マトリックス」シリーズへと良好な関係が続いていきます。
その後もTVドラマやTV映画作品のスコアを継続して多数作曲しており、ウォシャウスキー兄弟が動き出すまでは映画スコアを書いていないといっていいほど、ほぼ映画よりはTV、ショートフィルムに楽曲を提供し続けておられます。
・ものすんごく“マトリックス”なオフィシャルサイト
http://www.dondavis.net/
・itunesで配信中のDon Davis
■サントラ
【コンピレーション】
The Matrix: Music From The Motion Picture Don Davis Maverick 1999-03-30 by G-Tools |
Youtube!
http://youtu.be/iyhDmHwWEbQ
全12曲収録の超豪華コンピレーションアルバム!
公開当時売れに売れまくった名盤中の名盤サントラです!
1. Rock Is Dead. Marilyn Manson
2. Spybreak! (Short One). Propellerheads
3. Bad Blood. Ministry
4. Clubbed To Death (Kurayamino mix). Rob Dougan
5. Prime Audio Soup. Meat Beat Manifesto
6. Leave You Far Behind. Lunatic Calm
7. Mindfields. Prodigy
8. Dragula (Hot Rod Herman remix). Rob Zombie
9. My Own Summer (Shove It). Deftones
10. Ultrasonic Sound. Hive
11. Look To Your Orb For The Warning. Monster Magnet
12. Du Hast. Rammstein
13. Wake Up. Rage Against The Machine
【スコア】
The Matrix: Original Motion Picture Score Don Davis Varese Sarabande 1999-05-04 by G-Tools |
Youtube!
http://youtu.be/ZtsKL0d4uXs
スコア盤は全10曲収録
1. Main Title/Trinity Infinity
2. Unable To Speak
3. The Power Plant
4. Welcome To The Real World
5. The Hotel Ambush
6. Exit Mr. Hat
7. A Virus
8. Bullet-Time
9. Ontological Shock
10. Anything Is Possible
■サントラ未収録
・Django Reinhardt 「Minor Swing」
Jazzギタリストの名匠ジャンゴ・ラインハルトが演奏した「マイナー・スウイング」が使用されています!
参考:Youturbe!
http://youtu.be/8zdJJhsfi38
Minor Swing Django Reinhardt Rajon 2006-01-10 by G-Tools |
・Massive Attack 「Dissolved Girl」
Youtube!
http://youtu.be/GAiceRuLX1I
Mezzanine Massive Attack Virgin Records Us 2000-01-01 by G-Tools |
・Duke Ellington 「I'm Beginning to See the Light」
Youtube!
http://youtu.be/nAsJexo_S5Q
I'm Beginning to See Light: Complete Rca 1944-46 Duke Ellington RCA 2000-04-04 by G-Tools |
◇他の映画からの使用
1972年の映画「Night of the Lepus」より
「Begin the Run」を使用
コンポーザーはジミー・ハスケル / Jimmie Haskell
映画はというと日本未公開で「野うさぎの夜」という邦題がつけられたこともあるようです。入手困難作品。
ウサギが群れをなして人を襲うというホラー映画で「赤いカプセルと青いカプセル」といい “ふしぎの国” 繋がりという意味合いかと思われます(あくまでも私的な見解ですがw)