興奮冷めやらぬうちに書いておこうという事で、
「スケバン刑事・コードネーム麻宮サキ」レビューです!
意外と予想以上に出来がいいのは確かなんだけど、
それだけに突っ込みたいところもありました。※ネタバレありなので、見てない方は読まない方がいいですよ。記事内容一覧アイドル“あやや”から、女優“松浦亜弥”へシナリオがよかったかどうか?という私なりの解釈。シナリオが読めない監督?パクリすぎ・・・ラストのバトルシーンは必見!で、結局どうなの?スケバン刑事 旧シリーズ撮影秘話!アイドル“あやや”から、女優“松浦亜弥”へまず一番初めに、松浦亜弥演じる、麻宮サキはどうなのか?
というとこれが、かなりいい!というか完璧にはまってて驚きました。これまでのシリーズで主人公を演じたアイドルは、
みんなこの作品でブレイクしたといってよく、
先入観がないというか、他の役やアイドルとしてのイメージ、
色に染まっていないだけに麻宮サキとして観る事がしやすかったわけですが、
こちらは現代を代表するトップアイドル。
ファン層も広く、まさか“スケバン”役をやるとは誰も思わないくらい、
麻宮サキのイメージとは程遠いイメージなわけで、
劇場に行って“あやや”がスクリーンに映るその瞬間まで、
期待と不安がいりまじった空気が劇場に漂っていた。
“あやや”で本当に大丈夫なのか?ところが、登場シーンから存在感のある戦う少女を好演。
初代スケバン刑事の娘という設定を見事に演じきっている。
戦うシーンで強く見せる事はある程度想像が付いたけれど、
瞳で語る意志の強さや、貫禄、そういったものが松浦亜弥にはある。
演技が出来る女優さんとして既に成立している。
ラストシーンでの歴代が決めてきた、
麻宮サキと名乗る際の啖呵を切るシーンには、正直惚れ惚れした。
これはかなりカッコいい!そこらのアイドルとは桁違いのオーラを持った松浦亜弥。
スクリーンでこの雄姿は是非ご覧いただきたい。記事内容一覧に戻るシナリオがよかったかどうか?という私なりの解釈。シナリオは日本映画界が誇る「丸山昇一」
松田優作の名作TVドラマ「探偵物語」でも知られている匠だ。
さすがというべきか、スケバン刑事という規格内に収めて、
現代風に見事にアレンジされたシナリオを書かれています。
ただちょっと残念なのは、
アイドルのことをあまりよく知らないんだな、といった印象。
というのも、今回敵役として公開まで話題になりまくっていた「石川梨華」
これがなんとシナリオ上はただの“かませ”キャラ。
中ボス程度の存在でしかないばかりか、性格や悪役としての極悪ぶり、
それらがほとんど描かれていないのだ。普通この程度の役であれば、みるからに性格の悪そうな女優がやればいい事。
けれどこの映画でこの役を演じるのは、こちらも“あやや”と並ぶトップアイドル。
石川梨華がなぜボンテージファッションでなければならないのか?
その理由は、精一杯悪役らしく、
それ以上に、“かませ”キャラっぽくしないための苦肉の策でしかなかった。シナリオでもう一つ気になったのは、
制作サイドが、どの程度練りこんだか?にも通ずる部分として、
インターネット上のアングラサイトでの会話が全て「2ちゃんねる」風にしている事。
これは完全に「電車男」の悪影響でしかない。ネット上での会話は「2ちゃんねる」を真似ればいいと思っているようだ。ブログやSNS等、他にも色々と描き方はあると思うし、
そこら辺は勉強不足が露呈していた。
ストーリー上、
ネット社会を描く事にそれほど固執する必要もないと思うので、
もっと古臭くてもいいから、
今回の麻宮サキのキャラクターに焦点を絞り、
人間同士の争いを描いて欲しかった。
学校の教師との争い、石川梨華扮する「秋山レイカ」と黒幕との関係、
黒幕率いる敵組織の異常性、はては斉藤由貴演ずる母の事等、
どれもこれもが中途半端で語りきれていなかったように思うのだが・・・記事内容一覧に戻るシナリオが読めない監督?監督の深作健太は申し訳ないが評判がよくない監督というイメージ。
デビュー作「バトロワ2」の失敗が未だに後を引いているわけですが、
今回の作品はまだ見れる。
スケバン刑事シリーズとしては出来がいいほうだとも思える。そもそも、荒唐無稽、
細かいつじつまなんか気にしていられないアクション重視の娯楽作。
そういう意味では、
アクション演出で魅せるタイプの監督にはぴったりだったのかもしれない。
けれど問題は、「シナリオが読めていたのか?」ということが気になる。
丸山昇一の書いたシナリオがそこまで悪かったとは思えないのだ。当然のことながら、シナリオは小説のように細かい感情や、
細かいカット割りは書かれていない。
つまり、シナリオを読んでそのまま映像化してしまっては芸がないばかりか、
映画として成り立たないのだ。極端な話をするので参考程度に読んで欲しい。シーンAとシーンBがあったとする。
シーンAでは麻宮サキが泣いていたとする。
シーンBでは麻宮サキと秋山レイカが殴り合っていたとする。
これをそのまんま映像化して話がつながるかというとまず繋がらない。
なのでシーンAとBの間に何を用意するかで、
監督がシナリオを読み込んでいるかどうかが問われてくるのだ。
もしサキとレイカが宿敵ならば、AとBの間にシナリオにはなくとも、
憎むべきレイカに屈辱を味合わされるサキの映像クリップが入っても良い。
これが逆に、最後にはレイカが良い奴だったという落ちならば、
レイカの日常にふと見える可愛らしさの映像クリップ等、
もしや?という映像による複線を入れてもいいのだ。
そしてそれこそがシナリオを読む。
すなわち、
シナリオに書かれていない状況や心情を読み取り演出するという事。この辺の事を、映画の中で深作健太監督はまったくやっていないのである。
(お父様の深作欣二監督作品「いつかギラギラする日」では
映像だけで魅せる、荻野目景子演ずる悪のヒロインの心理描写シーンが印象に残るのに・・・)演出論をプロに向かっていっても仕方がないが、
シナリオをどう肉付けするかが演出なわけで、役者への演技指導だけが仕事ではない。
「これでは分かりにくいから、こういう映像を挿入したい。」
この辺のスタッフ間、
製作サイドのやりとりがもっと真剣に行われた方がよかったのではないか?
という疑問が、この映画を見終わった後に残った。やたらと町を歩くシーンや物思いにふけるシーンも多いが、
この辺はある種シナリオに、
監督が映像演出をする余裕を与えていたのではないのか?とさえ思えてくる。顕著なシーンがある。ラストカットだ。この映画のストーリーは、簡潔に言うと、
岡田唯演じる「今野多英」と、三次絵梨香演ずる「琴美」が立ち上げた、
いじめにあっている学生達の憩いのサイトが、
いつの間にかカルト集団に洗脳され、のっとられてしまい、
爆破テロを思わせる事件を起こそうとしていて、
それを阻止するためにサキが学園に送り込まれるというもの。
この映画の中で、三次絵梨香演ずる「琴美」は
一番初めに黒幕に洗脳された生徒であり、爆弾を学園に持ち込んでいる。
岡田唯演じる「今野多英」は事件の後、
精神科送りになった「琴美」をずっと慕っている。
ここで重要なのは、一見被害者に見えるこの2人。
不思議な事に映画を通してみると、本当の黒幕にも見えてくるのだ。というのも、精神科に入院し、友達の「多英」にも口を利かない「琴美」が、
サキにはあっさりと黒幕の名前を話してしまうのだ。
黒幕が倒され、全ての事件が解決するや否や、
彼女ら2人はなんと満面の笑みで、いじめられっこから一転、学園に復帰する。
ある種裏で手を引いていたかのようにも見えるのだ、
事件の発端となるHPを立ち上げたのもこの2人なわけだから。
しかもサキは、3日間の限定スケバン刑事だったにもかかわらず、
電話での母とのしばしの会話の後、学園へ復帰するのだが、
ここでのサキに笑顔がないのである。事件は解決し、
助けた「多英」「琴美」のもとに向かうサキの顔は、
なぜか厳しい表情なのだ。「まだまだ話はこれから続く、
この2人への疑いははれていない」かのように。
アイドル映画ならここでやっと
“あやや”と美勇伝の笑顔で良いはずなのに、
それがないばかりか、
こういったある種深読みや、誤解をさせてしまっている。つまりこれは、シナリオの行間を読み、
シナリオにない部分を描く事をしていないからこそ、
演出がぶれてしまっている何よりの証拠だと思う。
シナリオには「決意も新たに学園に向かうサキ」
とでも書かれていたのだろうが、
それをそのまま演出してしまってどうする・・・・
幸せな学園生活を望む普通の女子高生としての決意の表情は、
満面の笑みでもかまわないのだから。記事内容一覧に戻るパクリすぎ・・・演出だけの問題なのか?この映画はあまりに他の映画からのパクリが多い。
冒頭のサキが、拘束着から脱出を計るシーンは、
映画「リーサルウェポン2」のメル・ギブソンそのまんまだ。肩の間接を外して拘束着を脱ぎ捨て、
壁に肩をぶつけて無理やり外れた肩を元に戻す。
これに関してはおそらく健太監督が単純にパクッたのであろう・・・後半サキが敵に捕らわれ爆弾を体に付けられたシーンで、
もしこれがシナリオ上の複線なら、肩の関節を外して脱出するはずだが、
健太監督は何も考えていない・・・
サキは偶然にも、手を止めていたポリクリップが切れて助かるのだ。
演出上こういうところで複線をはらないでどうするんだろう・・・それから次にネット社会の描き方。
言うまでもなく「電車男」と「2ちゃんねる」
もっと他の描き方はなかったんだろうか?そしてもっとも気に入らないのは、黒幕の「窪塚俊介」のキャラ。
こらこら東映・・・といった感じ。
先ごろ公開された「まだまだあぶない刑事」
この映画でも窪塚俊介は黒幕を演じているが、
キャラクターがまったく同じ。カルトな思考の持ち主で爆弾テロを起こそうとしている。
しかもそれがすべてゲームだという悪びれない感覚。
なにもかもがまんま同じ。
キャラクター造詣がここまでワンパターンで貧困だと、さすがに困りものだ。黒幕率いるカルトが銀行を襲うシーンで、
ふざけた変装マスクをつける様は、
洋画のギャング映画ではよく見れるシーンだし、
最近では「ドミノ」でみる事が出来る。それから「いつかギラギラする日」を見ているんだろうか監督・・・
銀行を襲った際の上がりってのは、
たいてい予想よりも少ないってお父さんは描いていましたが?
街の小さな銀行たたいて億単位の金額が手に入ってしまうとは・・・・・
あと、細かい話・・・ラストの銃撃戦・・・・
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10月4日追記
そうそう、そういえば肝心なやつを突っ込み忘れ。
3日間で何か事件が起こる!ということで、
やたらと「24」まがいのカウントダウンが出てきます・・・・記事内容一覧に戻るラストのバトルシーンは必見!それでも駄作ではないのが、
この映画で物凄く出来がいい音楽とアクションのおかげ!音楽は「安川午朗」
「ガンクレイジー」や「GONIN、「仮面ライダー THE FIRST」」等、
日本映画アクションに欠かせないクールなスコアメーカーといえばこのお方。
サントラが出ていないのがもったいないくらい
素晴らしいスコアを聞かせてくれる。この音楽にのせて、
キレのあるシリーズ最高のアクションシーンを監督したのが、「横山誠」
雨宮啓太監督とタッグを組んだ「未来忍者」でデビュー。
「仮面ライダー THE FIRST」「牙狼」でもキレのあるアクションを監督。この作品ラストで魅せるサキVSレイカのヨーヨー対決は必見!もっと2人のキャラクター設定や対立がしっかり描かれていたら、
このシーンはもっと長くすさまじいものになっていたはず。
かませキャラでなければ・・・惜しいことこの上ないほど、もっと長くみたかった!
それくらいキレがある見事なワイヤーアクション。素晴らしいの一言だ。
設定上、サキがラストに着るバトルスーツは接近戦専用の完全防弾。
MINIMI重機関銃で撃たれてもびくともしないというとんでもない事になっているが、
それを見事に活かした緊迫した接近戦を見せてくれる。
コメディーなアクション演出部分もあるにはあるが、
総じてアクションシーンの出来がいいのは救い。全偏「横山誠」に監督させた方がよかったんじゃないのか?
それくらい「横山誠」の今作への貢献は大きく、
彼がいなければ間違いなく駄作に終わっていたはずだ。記事内容一覧に戻るで、結局どうなの?Yahoo!のような星5つの評価で言うならば、
この映画は結果星3つ!
なんというか、
細かい事を望む事が間違いかもしれない・・・とも思えるから。けれど、あえて望んでしまうのは、
アクションシーンの出来が本当にかなりいいので、
ヨーヨーが武器として漫画的ではなく、リアルに成立しているし、
初代サキとの親子関係等、レジェンドとしても成立していて、
スケバン刑事シリーズ上重要な最新作であるからだ。
それに加えて松浦亜弥の貫禄ある演技の上手さ、
竹内力の名脇役ぶりといい、役者人の演技にマイナスが感じられないから。
それだけにもっとしっかりしろ監督!と思わず言ってしまうのだ。
せっかくこれだけの映画を復活させたのだから、
このままTVシリーズの復活や続編映画制作も、
是非、松浦亜弥で期待したいので、
続編は「横山誠」監督で何とかならないものだろうか?記事内容一覧に戻る